あたしや笠原くんよりも一足先に社会に飛び出した聡くん。

カメラスタジオに就職して、初仕事としてブライダル雑誌の担当になったという。



「あたしじゃなくて、プロのモデルさんとかいるでしょう?」



この素人のあたしに花嫁のモデルをやってくれだなんて。

聡くんの依頼に、あたしはすごくドキドキしてしまった。



「いや、プロのモデルと素人モデル、両方を使うんだよ」

「うーん……。でもなぁ……」

「なっ? 一回限りなんだし。謝礼も出るし、ドレスも着れるんだぞ?」



一瞬。

純白のウエディングドレスに身を包む自分の姿が頭を横切った。


まだまだずっと先のことになるだろうけど……。

ウエディングドレスを着たあたし。

その隣に立つのは、いったい誰なんだろう。