それまで愛美とは、進路の話をしたことがなかった。
愛美が将来なにになりたいとか、どんな大学に行きたいのかとか……。
あたしたち、いつも、先のことを話すのを避けていたような気がする。
「あたしはねぇー……。笑わないでよ?」
「なによ、もったいぶって」
愛美は恥ずかしそうにうつむきながら、ようやく話し始めた。
「幼稚園の先生になりたいなぁーって思って」
「幼稚園の先生かぁー」
「あれっ? 笑わないの? そういうキャラじゃないでしょって」
「笑わないよー」
愛美が描く『幼稚園の先生』は、上品で優しくて、おっとりしている。
そんなイメージ。
だけど、愛美みたいに活発な先生もアリだと思うんだ。