――……うん??


あたしはただ、笠原くんがあたしの携帯番号とアドレスを書いたメモをまた捨てたんじゃないかと思って……。


『笠原くんに携帯の番号とアドレスのメモを渡したんだけど、それ、まだ持っているのかな?』


って聞くつもりだったのに。



「笠原くんって、携帯持ったの!?初めて知った!ねぇ、いつから?」

「……えっ……」



翠川くんは、しまった!という顔をして、鯉のように口をパクパクさせる。

そして、あたしの身体をグイッと引き寄せて、小さな声で耳打ちしてきた。



「高校の入学祝いに買ってもらったんだよ。つか、おまえ絶対に章吾に言うなよ?」



高校生になって色気づいたのか、密着した翠川くんから香水の香りがふわりと漂ってくる。