分かってやったことなのに。

それなのにあたしは、笠原くんに冷たい態度を取られると泣きそうになるんだ。



「おまえの買ってくる飲み物なんか、飲みたくねぇよ。自分で買ってくる」

「……笠原くんっ……」

「おい、章吾」



笠原くんはあたしを、思い切り横目で睨みながらスタスタと立ち去って行った。



「まーったく、素直じゃねぇなぁー。章吾もさぁ」



缶のプルタブを開けながら、聡くんがほんの少し呆れたように言う。



「笠原くん、成美ちゃんのこと……」

「あー……。全然、気にもしてないよ?」