ダメだ。泣いてしまいそう……。


付き合っているんだから、笠原くんと成美ちゃんがいずれは経験すること。

あたしにはとうてい縁のないもの。

だけど、自分の大好きな人が……と考えるだけで、たまらないほど苦しくなる。


それに……。

成美ちゃんの気持ちは、純粋なものだと言い切れないのだから……。



こぼれおちそうになる涙を、寸でのところで手で拭った瞬間。

スカートのポケットに入れていた携帯がリズミカルに震える。



「………？」



学校にいる間はめったに鳴らない携帯。

首を傾げながら携帯を取り出し、表示画面を見る。


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