「笠原くんには……言わないでね」



力なく呟くあたしの肩を、隣に座っている愛美がポンポンと叩く。

そして、愛美に睨まれてからずっと口を閉ざしていた聡くんが、落ち着いた口調で話し始めた。



「俺は章吾に全部話すぞ。騙されているようなもんじゃないか」

「……でも……」

「結局さ、成美ちゃんは、章吾がHしてくれたらいいわけだろ? そんな付き合い方っておかしくね?」



あたしが聞いた成美ちゃんの話。

笠原くんが指一本触れてくれないと悩んでいるような様子じゃなかった。

呆れたような……、見切りをつけたような言い方だった。


話を聞きながら、あたしは思ったんだ。

笠原くんのことを本当に好きなの?って。