それは突然だった。 横断歩道の無い道路、風に飛ばされた風船を追い掛けて迫り来る車に気付かずに猛ダッシュしてきた子供を、あたしは無意識に目で追っていた。 (やば、い!) 風船しか見てない子供に駆け寄り、車と距離を取ろうとするが、間に合わない。あたしは子供を突き飛ばして、慌てた顔をした運転手と目が合った。甲高いブレーキの音。切られたハンドル。突き抜ける衝撃。あたしはこれを知っている。 (――あたし、は………) そのまま、意識は闇に飲まれた。