「おばさん、何かあったの?」




あたしが聞くと、おばさんはビクリと震えて目を泳がせた



あたしはおばさんの隣に座っておばさんの顔をのぞきこんだ




「あのね、友梨ちゃん、さっき先生が来て話してくれたんだけど、
達也、次意識がなくなったらもう目を覚ますことはないんだって」



おばさんはうつむいて、そんなことを言った




「え…どういうこと、それ」



「だから、達也は今、全ての力を振り絞って意識を保ってるから、次意識を失ったら死んじゃうんだって」



「そんなの嘘、だよね…」




呆然と呟くと「嘘じゃない」とおばさんに両手を包まれた




「達也はもう自分が長くないってわかってる
あたしはあの子のあんな痛々しい笑顔、見てられない

友梨ちゃん、あの子のそばに、いてあげてくれない?」




おばさんはしっかりとあたしを見て、その時はじめておばさんが泣いていることに気付いた




「…わかった
達也のそばにいる」




おばさんと目を会わせてそう答えるとあたしは病室に入った