季節は、ひだまりのあたたかな春の日だった。

『 本日は誠にお日柄もよく...... 』
校長、話し長っ!いくら入学式だからって気合入りすぎ...ねむ...
「ふわぁ~」
「こら優歌!あくびしないの!しょーがないんだからー」
幼なじみの唯はひそひそ声で私を叱ってくる。
「だってぇー」
「あと五分なんだから、我慢。」
「うぇー」
あーあ、つまんないなぁー…。

「おわったああ!!」
私は大きく伸びをして開放感を味わっていた。
「優歌は二組でしょ?」
「うん...高校も唯と一緒のクラスになりたかったよぉ。」
しゅんとすると唯は真っ赤になった。
「うっ...るさいわ。私は、うざいのがいなくなってうれしいしー。」
「もー!ひっどいなぁ。」
そんなこんなしながら教室に入り席につく。
周り、静かな人多いなぁ。みんな高校初日で緊張してるのかも。
えーっと、右隣は...ん?なんて読むんだこれ?
「さゆき。紗雪ってゆうの。よろしくね。」
「え?あ!よろしく!私は優歌!」
「名札のところ、じっと見てるからもしかしたら読めないんじゃないかと思ったのー。」
小さく笑う紗雪ちゃんは可愛くて優しそうな子だった。
「あれ、そーいえば、わたしの左隣がいないような...?」
「ああ、たしか名前がましろって人だね。今日は休んでるみたい。」
ましろちゃんか。可愛い名前だなぁ。
「明日は来るといいね!」
「そうだね。明日、声かけてみよっか!」
「うん!楽しみー♪」

結局、ましろちゃんは何日たっても学校には来なかった。