「分かったよ。今度倍にして返せよな!!」

「はあ!?倍って酷いだろ(笑)」

しばらく言い合っていると、


「ー…ふふふっ」

…ん?ふふふ…?

どこからか、若い女の笑い声が聞こえた。
翔と陸哉は一斉に声のする方を振り向いた。


小柄で大きな目。
焦げ茶色の長い髪。
きゃしゃな体。

声の持ち主はレジの店員だった。

「あの~今笑いました?」

翔が少し苦笑いしながら問い掛ける。

「すっすみません!!あのっ笑うつもりじゃ無かったんですけどっ」

必死で謝る店員。
名札には、朝倉と書いてある。

「や…そんな謝らなくてもいいですよ?」

翔は言った。
すると、女性は満面の笑みで答えた。

「ありがとうございます★お二人共面白い方々ですねっ」


笑った顔が、とても可愛らしかった。


ドキン……

え?
何だ、この気持ち。

ドキン……

また…
胸が高鳴る。

翔の顔がみるみる
赤くなっていく。

目の前の朝倉という
女性から目が離せない。

「あの!!これ、お金!!」

翔は4千円を置いて、足早にファミレスを後にした。

「え!?お客様っお釣りは…」

陸哉は驚いたように翔の後を追う。

「おい!!翔~お釣り貰わねーのかよ!