まだ、恋は始まってないっ!
「穂村、おは。
お前、スマホ持ってるだろ?
貸せよ」
次の日、田村くんは教室に入ってくると
真っ直ぐに私の座る席へとやって来た。
「えっ、スマホ……?」
予期せぬ奇襲攻撃にしどろもどろでスマホを差し出すと勝手に操作し始めた。
「ライン、やってねぇの?マジかよぉ」
ええ、ラインやるような友人関係おりませんのでね……っていうかこの状況って……。
「取り敢えず、メアド入れといたから、ロッキーと散歩行く時は俺に教えろ。
気が向いたら行ってやる。」
えっ?
メアド?
つか、気が向いたらってどーよ。
「あの……仰ってる意味がわからないんですけど……。いかようなご用件でうちの愚犬に……。」
「やっぱ、お前、変わってるな。
ほら、必ず連絡しろよ。
俺、気に入ったんだ、お前んちの犬。
おもしれぇじゃん、あいつ。」
あはは……犬。
犬をご所望で。
なるほど。
へいへい、仰せの通りに致します。
なんせ、クラスの人気者
イケメン田村くんが直々に言うんですもの。
飼い主として幸せにございます。
と、一人納得していると田村くんが今度は私の耳元で囁いた。
「お前さ、ーーーーー」
えっと、ですね。
田村くんが何を言ったのかはご想像にお任せするとしましてーーー
穂村 亜紀
17歳と4ヶ月にして
漸く、