「アキってさぁ、いらなくね?」


「確かに。何かと中途半端っつーか、メンドーだしな。」


「一層、飛ばす?」


「いや、もう最初からなかった事でいいんじゃね?」


「存在、消すってか。イイねぇ、それ、ウケるぅ。」


ケラケラケラ………













クラスの人気者達が
教室で賑やかに話している。


その教室の片隅にて分厚い小説なんぞを(中身は携帯小説、隣に住む子持ちのイケメン作家との恋の話を爆読中。)広げたまま、私は聞き耳をこれでもかとばかりに立ててその話に聞き入っていた。


ちなみに彼らのこの会話だけを聞いていると、私、穂村 亜希(ほむら あき)の公開ディスりかとも思えるがーーー


現実はそうではなくて、リアルに四季の秋の話をしているようだ。


そう、つまりクラスの中でも地味で何の特徴もない私ごときが話題になんて登るはずもなく……。


「俺はアキ好きだけど……。」


と、おもむろに口を開いたのは、クラスの中でも一番人気の田村 岳(たむら がく)。


そして、私が密かに思いを寄せーーーー


ああ〜、そんなたいそれた事言えない。


生まれてこの方、地味に生き抜いてきた私ごときが、いつだって輪の中心にいて誰からも好かれている人気者を好きだなんて、、、


って、言ってるじゃん。


いや、あくまでこれは私の心の声であってクラスメイトに向けて発しているものじゃない。


それに私の中ではこの思いはまだ恋とは認めていないのだ。


確かに良いなとは思うけれど、万が一にでも「付き合って」なんて言われりゃ速攻、「全力でお付き合いさせて頂きます」って返事するけど


なんて言うか……
そう、今、読んでる携帯小説とかもそうだけど相手を思うと心がキュッて締め付けられるような、苦しくなるような、好きって気持ちが溢れて抑えられないような……


ってあくまで憶測だけど。


兎に角、そんな思いに満たっていない私の恋はまだ始まっていないのだ。


それよかさぁ、今一度、言ってくれないかな。
ほら、今の、今のよ。


マイ耳にダウンロードして100万回再生するからさぁ。


アキがどうしたって?


ほら、アキがーーーー