そんな話をしていると教室のドアから私の元へ近寄ってくる人。



「未月」

「あ!晴ちゃん!」


私がそう言うと、莉一と泉は晴ちゃんへと目線を移す。


「あ、莉一先輩、こんにちは」


「…こんにちは」



人見知りな部分もある莉一は最上級の愛想笑いで返事をするが、泉はというと、眉間にシワを寄せて晴ちゃんを睨んでこう言った。



「…誰?」


「あ、話すタイミングなかったんだけど…
昨日から付き合っている晴ちゃんです!」



彼氏…とはいえ、付き合っている感覚もまだない今、あらためて紹介するのは少し気恥ずかしかった。



「「彼氏……?」」


莉一と泉は驚いた顔をして、同時に声をあげた。



「あ…ども。」


「…んだよ!
未月!俺そんなの聞いてねーよ!」


「あ、だから、言うタイミングなかったの。
ごめんね?」


何故かキレる泉を私は必死になだめる。



「あ、ねぇ!
今日未月の家でパーティーするんだけど晴ちゃんも来ればいいじゃん!」


愛奈の提案に真っ先に反応したのは、お怒りの泉。


「は!?
なんで?!」

「なんでって…
未月の彼氏なんだよ?いいじゃん別に」

「やだ」

「うわー、子供みたい。
もうちょっと可愛くヤキモチ妬けないの?」

「……っるせぇ!バカ女!」



またいつものように喧嘩を始める二人の横で、静かに莉一が口を開いた。


「うん、彼氏さんもおいでよ」


yesもnoも言えないような話し方に、晴ちゃんはただただ頷くだけでいた。