そんなことがあってから一夜が明けた。



清掃を終えたバンガローから出ると…




「槙谷。体調は大丈夫か?」




目の前にいたのは岬だった。





「うん。私、やっぱ体は強いみたい。」




そう言ってニッと笑って見せると岬は笑って




「そっか。…ならいいや。」




それだけ言って去ろうとする岬。




「ちょ、ちょっと待って!!」




「…ん?」




私が呼び止めると首をかしげながらこっちを振り返る岬。





「心配してくれてありがとう!」




すると岬は顔を真っ赤に染めてそっぽを向き





「か、勝手に浮かれとけば。バーカ。」





そう照れ隠しみたいにぶっきらぼうに言うと去っていってしまった。




…まぁそういうところも好きなんだけどね。








「奈留ー?バス乗るよ~」




「うん!!」




この野外活動で。





私は…たくさんの思い出をもらった。




どれもこれもが…最高の思い出。









「奈留サーン。」




「あ。高山…」




思い出にひたっていると高山が話しかけてきた。





「僕、君のこともう諦めるよ。」





「…え?」





いきなりの言葉に私は驚いた。





「んー?一応言っといたほうがいいでしょ?まだ僕が君のこと好きって思われてたらなーんかイヤだし?」






私は呆然としていた。





「だから僕のことはもう気にしないでね。」





高山はそう言い残すとそのままバスへと乗り込んでいった。





ああやってはっきり言える高山は本当にかっこいいと思う。





でもやっぱり…私は高山を好きになれない。