岬side



高山のことは極力考えず、とにかく体験活動に集中した。




「高山くーん!こっちで一緒にやろうよー」




「ごめんね~今日は僕、岬君と行動するから~」




そう言って残念そうな顔をする女子に爽やかな笑顔を向ける高山。





…こういう猫かぶり人間、俺はすごく嫌いなんだよ。





心の中で静かな怒りを抱えていると。















「ええっ?!嘘でしょ?!」




「なんで…」





いきなり周囲がざわつき始めた。




中心となって話しているのは…ある女子生徒だった。





「そうなの!いついなくなったか全然わかんなくて…」




「先生は?」




「今、捜索してる。」





その女子生徒は息を切らしながらも必死になって伝えようとしていた。





…どうやらただ事ではないらしい。





俺は少しだけ耳を傾けた。









「誰がいなくなったの?」





「二人いるんだけど…一人はね…実行委員長の槙谷さん。で、もう一人は雛さんで__」





その言葉を聞いた瞬間、俺は固まってしまった。





槙谷…?





俺は女子生徒の方へと向かい






「槙谷がどうしたんだ?!」




と切羽詰った勢いで話しかけた。




「え、えっと…山登りしてたら途中でいなくなっちゃったの。」





なんだって…??





「わーそれはまずいね?岬君?」





すると後ろからいつもの調子で声を発す…高山。






俺は高山をにらみつけ






「おい…なんでそんな他人事みたいに言うんだよ?」





「だって他人事じゃん?」




「お前っ…!!」





俺は高山の胸倉をつかんだ…が。




すぐにこんなことをしてる場合じゃないと思いパッと手を離すと





「…とりあえず探しに行くぞ。」





そう言い高山と共に走り出した。