「雛…帰り道って普通、くだるもんだよね?」



「まぁ普通はね。」



「うん。じゃあさ…」



私は大きく前に一歩踏み出した。



「なんで私達は帰ろうとしてるのにこうして上ってるの?!」



「だって帰る道に上り坂しかないんだからしょうがないでしょー?」




はい。私と雛は…



どうやらそ、遭な……



「それ以上先のこと言ったらここで天に召されるよ?」



「そ、そんな恐いこと言わないでよ?!」




私はとにかく雛についてくことに努めた。




私達はみんなとはぐれてからとりあえず山をおりようってことにしたんだけど…




なぜか少しくだっただけですぐ上り坂になってしまったのだ。




「…こんなんじゃキリないね。このままだと本当に…」



「嫌!それだけは本当にやだ!!」




私は今にも泣きそうだった。







「…とりあえず山をくだるのは諦めよう。」




「え?」




「下手に動くより止まってたほうが安全だし。」




そう言うと雛は木陰を見つけてすわりこんだ。




私もそれにならってすわった。








「…助けが来ると運がいいんだけど。」




「え…これって運なの?」




そこで会話が途切れると私は体操すわりをして身を縮こませた。




そしてぎゅっと隣にあった雛の手をにぎった。




「…?」




「ずっと一緒にいてね…?」




「…当たり前。」





雛はそう言うと優しく握り返してくれた。