「い、いやっ…」



私は初めて高山の要求を拒んだ。




「…はぁ?」




高山の要求を拒んだらどうなってしまうかなんてわからないのに。




…私は拒んだのだ。





「へぇ?奈留、どーしてそんなことが言えるわけ?」





案の定、高山はご立腹。





…でも。




「私、岬が好きだから…別れるなんて考えたくない。」




私ははっきり言い返した。









…そんな時。





「ということみたいだから。諦めろよ。…高山。」





隣から声が聞こえたかと思うとその人は私の目の前に現れた。





「岬っ…」





愛しい、愛しい…私の好きな人。







「今までのやり取り聞いてたけど…高山、それはずるいんじゃない?」





「はぁ?岬君に言われる筋合いはないんだけど?」





「…あるでしょ。俺の…大事な彼女を傷つけたんだから。」





そう言う岬は本当にかっこよくて。





「奈留。今から帰りな。きっと先生も寝てるだろうし。」





「う、うん。」





私は岬に言われ、男子バンガローを飛び出した。










「…あーあ。せっかく今日は楽しく夜を過ごせると思ったのに。」




そうつぶやく高山に。





「楽しい夜…?そんなのお前には永遠に来ねぇよ。」





そう言いにらむ岬。





「ふーん…」





すると高山はそのまま布団に戻った。





「安心しなよ。もう僕は何もしないし。岬君も寝たら?」





「…ああ。」





そして岬も同じように布団にもぐって眠りについた。





























「今日は…ね。」




だから…最後につぶやいた高山の言葉は知る由もない。