「やっぱお前だったんだ。」



「え…やっぱって…聞こえてたの?!」



「ああ。運動場の奴ら、みんな驚いてたぜ?」



まさかそこまで大規模に聞こえてたなんて…!!



先生が飛んでくるのも無理ないな。



私はそう自分でうなずく。





「で?お前は1週間、先生にコキを使われると…」



「そーなんですよ…」



すると岬は少し息をつき



「手伝ってやってもいいけど。」



「…え?」



いきなりの優しい発言。



「え?今、なんて…」



「は?!べ、別に聞こえてなかったんならいい。」



そう言い照れてそっぽを向く岬。



でも…やっぱ空耳じゃなかったんだ。



「岬!本当に感謝っ!!」



「は?!うるせぇバーカっ!!」



またツン猫に戻る岬であった。







「やっと着いた~!!」



私は資料室に書類を置いて声を上げる。



「お前…いちいち声が大きいんだよ。」



そう岬に言われてしまう私。



「で?また職員室に戻るんだろ?」



「まぁ…でももう下校時間だし、今日はもう仕事ないと思う!」



そう話していると…本当に下校時間のチャイムが鳴った。



部活動の人たちも帰っているのが伺えた。



「ああ…また先輩に怒られるわ。」



そうつぶやく岬の言葉にどきりとする私。



気になるのは…やっぱりあの女の先輩のこと。



「ねぇ。岬…」



そう問いかけようとすると。






「槙谷!!お前、どんだけのろまなんだ!早く帰って来い!!」



という先生の怒鳴り声。



「やばっ…!!超怒ってる!!」



「走るぞ。」



結局、先生のせいであの女の先輩のことは聞けなかった。