岬side



槙谷…一体どうしたんだよ…??



俺はずっと一日変な槙谷を気にしていた。



いつも明るい槙谷が…今日は驚くほど暗い。




そして…



「奈留さーん?」



高山が槙谷のこの元気のない訳に関わってることは明白だった。




問題は…高山が槙谷に何をしたのか。



だがそんなに簡単に検討もつくはずがなく…




「はぁ…」



大きなため息と共に落胆する俺だった。







そして。



「なぁ。…お前、なんで今日は素直じゃないわけ?」



俺はついに槙谷に問いただしてしまった。



槙谷はなぜか慌てながら



「そ、そんなこと…」



と言い訳しようとする。



俺はそんな槙谷にイラつき始めていた。



なんで俺には本当のこと言ってくれないんだよ。



どうして…



「あのさぁ!お前、いつからそんな自分に嘘つくようになったわけ?!」



俺はついに怒鳴ってしまった。



そして何も言わない槙谷に向かって



「もし…それが槙谷の本当の姿なら…幻滅したよ。」



と俺は冷たく言い放ってしまったのだ。










そして委員会後。



槙谷は俺とは一度も目を合わせずに教室を出て行ってしまった。




そして…教室を出て行く槙谷の後を追うように高山は出て行った。




「……」



何を思ったのか俺はすぐさま高山の後を追ったのだ。







…でも。



俺はこの時、追いかけたことを後悔するハメになってしまった。







「好きだよ。高山。」









聞こえてきたのは…槙谷のそんな言葉。



俺はその場でぴたりと止まってしまった。



今…槙谷、告白した…?



聞き間違いだと思った。




いや。そう…信じたかった。





俺は恐る恐るこっそりと槙谷をのぞいた。





「…っ」




槙谷の顔は……真剣だった。







それから俺は気づかれないようにその場を立ち去った。




思えばこの時が失恋した瞬間だった。