な…何だったの?!今のは!



去っていく岬を見て私は胸を高鳴らせていた。




どうして岬は…こうして軽々と私の心を持って行くのだろう。





何ともない顔して…









「好きだよ…」








私は溢れる想いを口に出した。



止まらない。




想いだけが…先走る。





…そんな時だった。





「奈留。」




いきなり名前を呼ばれ、私は振り返った。




「何__」




何か薬をかがされたのがわかった。




私はそのまま…気を失ってしまった。













「ふぅ…ようやく眠り姫になってくれたね。」




そうつぶやく…一人の男。




「ったく…何が「好きだよ…」だ。そんな心、僕が奪ってやるっての。」




だからちょっと眠っててねと言い奈留をなでる男。




そして奈留を抱きかかえるとある教室へと歩を進めた。





誰もいない廊下。





彼の姿に気づく人は…一人もいなかった。









その男…窓から射し込む夕日に顔が照らされた。




口角を上げて余裕な笑みを見せる男は…









「さて…どんな囚われの姫にしてあげようかな?」



ロープを持ってニコニコ笑う…高山。




高山は眠っている奈留の手を器用にロープで縛った。




足も…同じように。





完全に動けない状態にした後、高山は奈留の頬にキスを落とした。





「愛してる…」




そうつぶやく高山の目には、もう奈留しか映っていない。