「岬!」



私は部活へ行こうとしていた岬を呼び止めた。



「…何だよ?」



ハイソックスというサッカー部特有の格好を着こなす岬は




本当にかっこいいと思った。




…じゃなくて。







「ぼーっとしてちゃダメだからね?」




そう私は岬に言葉を投げかけた。




岬はぽかーんとしながら私を見つめる。



「亜美さんから聞いたよ?ずっと上の空だって。何考えてんのか知らないけど集中して部活に取り組みなよ?」




すると岬は少し顔を赤らめ顔を伏せた。





「じゃあ頑張ってね!」





そんな岬に私は微笑みかけると帰ろうと身をひるがえした…が。







「待てよ…!!」




いきなり岬が後ろから抱きついてきた。




「え、ちょ…ええっ?!」




私は何が起こったのかわからずプチパニックにおちいる。




「お前…バカなのか?俺の気持ち、察せよ。」




「え…?いきなり何の話…」




「俺が上の空の理由。教えてやろうか?」




そう聞く岬の声が耳をかすめた。





いきなり大胆なことして…岬一体どうしたの…?!





私が答えないでいると。






「教えてもらいたくないならいい。」




そう低い声でつぶやく岬。




「い、いやっ!教えてもらいたくない訳じゃない…」




ただ恐い。




それだけは言えなかった。




すると岬は私を抱きしめる力を強め、私の耳元でささやく。




岬「__」





岬が発した甘い声音に私は溶けてしまいそうになった。




岬は言葉を言い切ると、さっきの大胆な行動と裏腹に顔を真っ赤に火照らせると










「この言葉、嘘じゃ…ないからな。」




そうとだけ言い残すと部活へと行ってしまった。




私はその場でへなへなと座り込んでしまった。





そして耳に手を当てさっきの言葉を思い出す。




















『お前のことずっと考えすぎて上の空だった。…悪いか?』