「ねぇっ!!」



私は教室を去ろうとするツン猫を呼び止めた。



ツン猫は立ち止まって振り返る。



「お前かよ…」



「あの神の声ってアンタでしょ?本当にありがとう!」



「違う。何が神の声だよ。」



そうそっけない返事をして去ろうとする彼の腕をつかんだ。



「ちょっと!本当に感謝してるんだよ?!ツン猫君!」




「誰がツン猫だよ!俺は岬 京汰(みさき きょうた)だ。」



そういきなり名乗り始める岬。




「んじゃあ岬!本当にありがとう。ちょっと見直しちゃった。」



私がそう言うと岬は顔を真っ赤にし始めた。




「見直すって…ったく、だから俺じゃないって言ってるだろ!」




岬はそう言い私の腕を振り払い、教室から出て行ってしまった。






「ちょっと奈留?!」



そんな私の元へ来る、雛。



「な、なんであのツン猫と話を?!」



「え…あのね、岬が私にテスト攻略の秘訣を教えてくれたから。」




「いや、よくわかんないけど…関わらないほうがいいよ?」



関わらないほうがいい、かぁ…



私はもう一度岬が出て行ったドアの方を見た。



誰とも関わらず、遠巻きにされていた彼。



皆はきっとそれを彼が望んだことだと思ってる。



でも…



私が見直したって言ったときの岬の顔…



顔を真っ赤にして嬉しそうだった。




「…私、岬と打ち解けてみる。」



「は?ちょっと何言ってるの?!」



そんな雛の言葉なんか聞こえなかった。



私はそう決意を固めた。