「どっちにしろ校庭に出るハメか。」



「あー…外やだ…」



私はずずっと鼻をすすった。



…私は花粉症なのだ。



きっと花粉症の人にはわかると思うが…



辛いよね?外出たくないって本気で感じるよね?!



…それにさ。




「ずずっ…ずずずずっ…」



「…お前、さっきからうるさいんだけど。」



「しょ、しょうがないでしょ?! 恨むなら花粉症を作り出した植物にして!」



私はそう言い返しながら花粉たっぷりそうな草をぬく。



先生も拷問すぎでしょ?!



花粉症の人に草むしりやらすなんて…!!





「…じゃあやるな。」



淡々と告げる岬。



もしかして…私、邪魔だって言われた…?



迷惑って言われた…?



私はずーんと落ち込んだ。





そんな私を見て岬は髪をかきむしった。



「だから、そんなに辛いなら俺がやっとくから…ってこと。…お前は素直にその辺にでもすわってろ。」



そう言い岬が指差すのは草から遠いところだった。



もしかして、気を遣ってくれたの…?




「あ、ありがと…」



私は少し戸惑いながらも草むらから出て岬に指示されたところにすわった。



岬は汗をふくと一人で草むしりをし始めた。



『ありがとう』



その想いだけが溢れてくる。



自分の気持ちを伝えるのが下手で、素直に言葉にするのが苦手で。



でも彼の心はきっと温かい優しさで包まれている。



奈留「ありがとう…」



このこみ上げてくる熱い想いの正体を私は知らなかった。