なぜなら、二宮くんの肩が濡れていたから。 「にっ、二宮くん!」 すぐに理由に思い当たる。 折りたたみ傘なんてあいあい傘するには小さいに決まってるのに、あたしはいっさい濡れなかった。 それは二宮くんが、あたしのほうに傘を傾けてくれていたからだ。 さっきと立ち位置が同じだったら、気づけなかったかもしれない。 っていうかなんですぐに気づかないのあたし……! 「肩ぬれちゃって、ごめんね! すぐ拭くからっ」