2週間いっしょに生活しているけれど、登下校はいつも別々だ。



万が一いっしょに家を出るところを見られてしまったら、ただごとじゃすまない。


だって、相手が女嫌いとうわさの王子さまだ。



だからいっしょに……しかもあいあい傘をして帰るわけにはいかないよ。



そう思って拒んだのに、

黒い傘を開いた二宮くんは、「よくない」とあたしの手をつかんだ。



……ほら、こうやってふつうに触れるから。



ふつうに接してくるから、

あたしはときどき二宮くんが女嫌いだということを忘れそうになるんだ。




「二宮くん! 誰かに見られたりっ……」


「誰もいないから」




あたしの言葉に淡々と返し、ぐいっと手を引っ張ってくる。


無理やりではないけど、有無を言わせないような手に、どきっとする。