「俺には確認してきたのに?」
「あ、あはは……」
笑ってごまかすあたしに、二宮くんは少し考えるように地面に視線を落とした。
雨の音が絶えず耳に入ってくる。
まわりにはあたしたち以外だれもいない。
なんで帰らないんだろう、とふしぎに思っていると、彼は顔をあげてあたしを見た。
少しだけ、首をかしげて。
「……入る?」
え? 入る……って?
それって、つまり二宮くんといっしょに帰るってこと!?
まさかそんなことを言われるとは予想していなくて、あたしはあわてて両手をふった。
「いやいやいや! それはさすがに!」
「そんなこと言ってたら帰れねーじゃん」
「でも、ほんと大丈夫だから! 先に帰ってていいよ!」