「紫乃、じゃあねーっ」


「うん。ばいばい」




となりのクラスの子に手を振り、あたしはかばんを持って図書室を出た。



廊下の窓から見える空も、もちろん灰色の雲に覆われている。


歩きながら視線を落とすと、

中庭にところどころ水たまりができていて、絶えず波紋ができていた。




「ん~……。どうしよ」




用もないのに、学校にとどまり続けるのもいやだし。

やっぱり走って帰るしかないよね。



みゆきに傘を貸したことは少しも後悔してないけど、あたしも自分の対策を考えておくべきだったなぁ……。




「走って帰るしかないか」