図書室にある時計をみあげると、もうすぐ委員会がはじまる時間帯だった。
体の向きをうしろから正面にもどしたとき、ふいに図書室のドアが開いた。
「……あ」
入ってきた人物を見た瞬間、思わず声が漏れる。
けれどそれは、周囲が大きくざわついたことによってかき消された。
「え、おっ、王子だよ……!!」
「なんで!? 二宮くんって図書委員じゃないよね!?」
「やば! めっちゃかっこいいー!」
二宮くんが入ってきた瞬間、いっきにわきたつ女の子たち。
さっきまで話していたとなりのクラスの子も、「やばい!」とあたしの肩をたたいてくる。
高い声のざわめきに、二宮くんはちょっとだけいやそうに表情をゆがめた。