なかなか受け取ってくれないから、ちょっとひきょうな手をつかってみた。
眉を下げて見つめると、みゆきは「え、えっと」ととまどった声をあげる。
みゆきは優しいから、あたしを悲しませるようなことは絶対にしないんだよね。
「ね? お願い」
「わ……わかった。紫乃ちゃん、ありがとう」
極めつけにあたしから頼み込むと、みゆきはおずおずと傘を受け取ってくれた。
申し訳なさそうなみゆきに、あたしはにこっとほほ笑む。
渡し方がちょっと強引だったけど、
これで天使が濡れずに済む!
「よかった。じゃあ、気をつけて帰ってね!」
「か、帰ったらすぐにてるてる坊主つくるからねっ!」