お昼休みが終わって、授業がはじまっても雨は上がらなかった。
それどころか時間が経つにつれ、雨足はひどくなっていって。
放課後にはどしゃぶりの雨になっていた。
「みゆき、はい。これ使って?」
帰りのHRが終わって、
あたしはかばんを肩にかけたみゆきに折りたたみ傘を差し出した。
けれどみゆきは、あわてて首を振る。
「ほ、ほんとに大丈夫だよ。走って帰るから……」
「絶対だめ。走ってもこの雨じゃびしょぬれになっちゃうよ」
「だって、それじゃ紫乃ちゃんが濡れちゃうもん……」
「あたしなら大丈夫。いまから委員会だし、終わる頃にはきっと上がってるから。
自分よりみゆきが濡れて風邪ひいちゃうほうが、あたしにとっては何倍も悲しいの」