ならんで廊下を歩いていると、ふいにみゆきがあたしの手を引っぱった。
「ん?」
「いま思い出したんだけど……。紫乃ちゃん、昨日の電話で『二宮くんと』って言ってなかった?」
――ぎくっ。
かわいらしく首をかしげるみゆきの言葉に、つい足が止まった。
昨日みゆきに電話をかけ直したときは、なにも言ってこなかったから、ほっとしてたのに。
「今日も二宮くんの話にいつもより反応してたし……なにかあったの?」
「なっ……なにもないよ~……?」
大好きな親友にかくしごとしなくちゃいけないなんて……!
ただでさえ、昨日『電波が悪くて切れちゃった』って嘘ついたのに!