奈子が本気で心配した表情を向けてきて、あたしはおはしを拾いながら苦笑した。
だって……おどろくに決まってる。
あの二宮くんが族をつぶしたとか、そんなことあるわけないじゃん。
「割りばしもってるけどいる~?」
「ありがと、リン」
「どういたしまして!」
リンから割りばしをもらって、あたしは落ち着くために息をついた。
さっきから二宮くんのことでてんぱりすぎだ。
「……ちなみに、それはただのうわさだよね? ファンタジーじゃあるまいし」
あたしは平然をよそおいつつ、リンにそうたしかめた。
リンはミニトマトを食べて「ん~」となやむようにうなる。