食いついたリンに、「うん!」と興奮ぎみにうなずく奈子。



人のいる廊下でって……すごい。

そうとう勇気が必要だったんじゃないかな。




「んで、王子は案の定みごとにばっさり! 虫でも見るような目で『迷惑』とだけ言って毅然と去ったらしいよ!」


「……え?」




奈子の話に、あたしは目を見開いた。


いつもならそうなんだ、と受け流す程度だけれど、それはどうしても不可能だった。




「それって、二宮くんが言ったの?」


「やだなあ紫乃! 王子の話してるんだから当然じゃん!」


「そう、だよね……」