玄関のドアを開けようとしたあたしを、葵衣がすかさず引き止めた。
手をつかまれて振り返ると、葵衣は少しあせった表情を見せていた。
「紫乃っ、どこに行くんだよ」
「みゆきがいなくなっちゃったの! さがしにいかなくちゃ!」
「なら俺が行くから、おまえは……」
「ああもう、葵衣も拓海くんも心配性すぎっ!! こんなときにあたしがだまってられるわけないでしょ!」
葵衣の手を振りほどき、あたしは勢いよくドアを開けた。
あの天使すぎる親友のことだ。
外にいるとしたら、きっとどこかでナンパされてるにちがいない。
あたしはまわりに、ヒーロー系女子なんて呼ばれてるくらいだもん。
大事な親友が危険な目に遭ってたら、あたしがたすけなくちゃ!
「大丈夫! 葵衣との“約束”はまもるよ」
振り返ったあたしは、
葵衣に笑顔を見せてスマホを顔の横にかかげた。
「だからちゃんと、助けにきてね」