あたしの声に、葵衣もこちらを見た。




「もめたって、拓海くんみゆきになに言ったの!?」


『みゆきが柊木に告白したって言うから、いまはあいつに近づくなって言っただろ……って』


「拓海くん、女心わかってない!」




拓海くんに怒りつつ、あたしはスリッパを脱ぎ、玄関の端に寄せた。


ローファーに履き替えて、つま先をこんこんと地面に打ち付ける。




『俺も……ちょっと反省した。あいつがあそこまで柊木のこと好きだったとは思わなくて』




柊木くんの中学のときのことを知っても、突き放されても、

みゆきの気持ちは変わらなかった。



それくらい真剣だったんだもん。


みゆきはああ見えて自分があるんだから、きっと拓海くんになにを言われたってあきらめるつもりなんかないよ。



あたしも、同じ。




「拓海くん、あたしもみゆきのことさがすから! 見つけたらすぐに連絡するね!」


『はっ!? いや、おまえは』




拓海くんのあわてた声が聞こえたけど、かまわず電話を切った。



きっとひとりで外出るなって言おうとしたんだろう。

でも緊急事態に、そんなことかまってられない!