まさか男の子相手に壁どんする日がくるなんて思わなかった。
って、ふざけてる場合じゃない。
あたしはすごく真剣に言ってるのに、葵衣は思いつめる表情を見せたあと。
答えるのを拒むように、ふいっと顔をそむけた。
「もうすぐ終わるから、ちょっとだけ待ってて」
「……やだよ」
「いま紫乃に話す必要なんかない」
なに、それ……。
躊躇なく突き放した言葉に、またずきんと胸が痛んだ。
葵衣とのあいだに、壁ができてしまったみたい。
目を合わせてくれない葵衣に、
怒りと同じくらいの悲しみが生まれて、あたしは小さく唇を噛んだ。
「意味……わかんないっ」
たくさんの疑問や感情が、心の中でぐるぐるとうずまいて、炎症を起こしてる。
あたしはうつむいて、ふるえる声でつぶやいた。