「るーちゃんのことが妹としてしか見れなくなったんだ。」


電話口から聞こえたその声に

頭の中が真っ白になって行く……



━━━遡る事2週間前


「和樹ハッピーバースディ!!!」

日々の退屈さを忘れた日、

和樹の24回目の誕生日。


南青山にあるレストランでお食事をして

プレゼントにはバーバリーのキーケースと

リバーシブルで使えるベルトをプレゼントした。


そしてこの誕生日が終わったら

ちゃんと仕事をしようと決意し

最後に奮発しようと決め

リッツカールトンのスウィートルームを

予約して和樹の誕生日を祝った。


日々の感謝とあたしの新たな旅立ちの意味を込めて…



翌日は2人で銀座まで出かけた。

シャネルに入るとあたしは一目散に指輪のショーケースを眺めた……

ネックレス、ピアス、ブレスレット

彼からのプレゼントは沢山あったけれど

唯一、指輪だけを貰って居なくて

いつも指先だけが寂しく思っていた。

あたしは一目惚れした指輪を指さし

「かずきぃ!これ欲しい!!」

その問いかけに彼が眉間にシワを寄せた。

「なんで俺の誕生日にるーちゃんにプレゼントを買うの?」

ご最もな回答であろう。

しかし口に出した手前あたしも引けずムキになってしまった。

「どうして?普段付き合ってる事に感謝とかないの?」

それは昨日までの雰囲気をぶち壊す発言だった……

そう分かりながらも心のどこかでは何を言っても、和樹が離れていかない自信があったのだ。




あの日からたったの2週間。



「なんで?」


しばらくの沈黙の後、間抜けにもそんな言葉しか出てこない……


「なんでって言われても妹にしか見えなくなったら恋愛関係では居られないでしょ……?」


彼の言葉は全部嘘だと分かっている。

きっと最後の優しさなのだろう…………

そして別れの理由すらもなんとなく理解出来る。


2週間前の指輪事件と

そして、佳枝ちゃんの恋愛を伝えすぎた。

和樹と他の人は違う

それなのに………

後悔が募る。

彼が良心でしてくれたプレゼントも何もかも全て

いつの間にか当たり前になってしまっていた。

そしてあたしは欲望のまま、もっともっとを望んでしまっていた。

当然の報いだと思いそれ以上は何も言えなかった。



3年弱という期間あたしと向き合ってくれた彼との恋は

呆気なく終わってしまった。



そしてその恋の終わりと共に気付かされたのは

いつの間にか堕ちていた自分自信ということ。