ある日の昼休み
クラスの女の子数人と一緒に近くのファミレスへ行った。
「お腹減ったぁ〜何食べようかな〜」
ファミレスの中で充満する料理の匂いを感じて口々にそんなことを洩らした。
「絵留ちゃん何食べる?」
隣に座っていた夏希がメニューをあたしの方に向け問いかける。
この際なんでも美味しいと思えるであろう程
お腹が減っていた。
「あたしはチーズハンバーグにしようかな〜あとドリンクバー 」
何気なくそう答えた。
目の前に座っている里穂と亜美ちゃんが口を尖らせていた。
「いいな〜!ドリンクバー付けたら予算オーバー」
里穂が言った、それに続き亜美ちゃんも
「亜美も〜チーズハンバーグ食べると今月キツイ〜普通のハンバーグにする!」
と言って口をへの字に曲げる。
心の中で“ピキン”と何かが引っ張られる感じがした。
目の前に運ばれてきた湯気が立ったご飯に
皆夢中になりながらまた恋愛の話に花を咲かせる。
それを聞きながらあたしは頭の中で何度も考える。
普通のハンバーグは390円
チーズが入ると450円…………
差額60円…………
60円でどうやって今月の生活に支障が出るのだろうか…………
ドリンクバーが190円
今日の食事はいくらで抑えるつもりだったのか………
皆の声がぼんやりしている。
何かが違う。何が違う?わからない。
「絵留ちゃん!」
夏希に呼ばれ我に返る。
「あ!ごめん。何の話しだっけ??」
笑ってとぼける
“もうー!”という顔をして夏希は続ける
「絵留ちゃんの彼氏は?どのくらい会ってるの?」
あたしの仕事に気を使ってか夏希はあたし達にしか聞こえないような小声で聞いてくる
目の前の2人も興味津々だった。
「 あたし?あたしは月に1回くらいかなあ〜 」
何気なく答える。
「ええーーー!!!!!」
今度はさっきの小声は何処へいったのかというくらい大きなリアクションだ。
周りのお客さんもビックリしている。
“またあの不良学校の生徒だ”
心の声が聞こえてきそうな視線を感じた。