しばらくの沈黙の末




「あいつはおれが思ってたような女じゃなかった。」


悲しい笑み。
隠れた過去。



「まあ話すと長くなるけどさ!
よ~するに裏切られたわけ!
ぐれた人間不信のなりのはてってわけ。」



明るくしてるつもりが空回りして
よけい夜の乾いた空気に響く。


私はもうそれ以上、
なにも聞かなかった。



『私もそう』


「え?」


驚いた隆也が
目を見開いて
私を見る。



『人間なんて信じてない。友達も。すべて。みんな。』


そう。
信じられるのは
自分だけ。



ううん。
自分さえも。
信じることが
できない。