「遅かった理由がそれ?」
美夏が肘(ひじ)をついて顔をのぞいてきた。
「はい…。」
「ふーん…。」
そう言ったきり黙ってコーヒーを飲んでいる美夏。
「どーしよー…みかぁ~…。」
「どうしようったって…あんたが間違うからでしょ?ハァ…嫌な予感はこれだったか…。」
確かにその通りです…でも…でもだよ!?
「うん…そうだよね…。」
「何?じゃあ矢上の事嫌いとか?」
「ううん。嫌いじゃないよ?…でも…友達としてだったから…。」
「矢上の顔…見た?」
「え…?」
「矢上…真剣に言葉伝えてなかった?」
「…伝えてた。」
「顔見ればさ…相手の気持ちわかんじゃない?」
「うん…。」
「まぁ…付き合うことになったんでしょ?よかったじゃん。ハツカレだよ、真穂。」
「そういう問題かなぁ…。」
(キーンコーンカーンコーン…)
「さっ!ってことは今日はいっしょに帰れないんだね?」
「…うん…。」
「あんたさぁ…。」
そう言って美夏があたしの顔を横に引っ張った。
「いたっ…!」
「そんな顔して矢上と帰んの?あんたはバカみたいに笑ってるとこが可愛いんだから。」
美夏はにっこり笑うと先に教室へ向かった。