「それで…、その…。」

どうしたのだろうか。
急にもじもじしだして。


「何ですか?どうしたのですか?」

明らかに少年の様子がおかしい。

何かあるのだろうか。


「2年生の小桜 翼さんですよねっ!」

なぜこの少年が私の名前を知っているのだろうか?


私に何の用があるのだろうか。


「そうですけど…?」


「やっぱり!僕、1年生で天野 涼雅っていいますっ!」


やっぱり1年生か。

敬語使わなくてよかったんだ。


「そう…なんだ。」


「はいっ!それで、僕あなたに憧れていて、頼みたいことがあるんです。」


音楽室に来る時点で変わっているけれど、私に憧れているとなると。

相当な変わり者だ。

「憧れ…?あ、そうなんだ…?頼みたいことって…?」


私にできることはあまりないけれど、一応聞いておこう。


「あの…。またここに来たいんです。そして、あなたと一緒に演奏がしたいんです。」