ヤツの射撃は正確だ。常に動き回っていなければ当てられる。

〝ゾフィエル〟は飛翔装置なのだ。だから羽ばたくという行為自体はあまり意味を持たない。それが必要なのは緊急回避の時だ。

が、その緊急回避を繰り返さなければ、私は落とされる!

右へ左へ、時には螺旋を描きながら飛び、力弾をやり過ごす。

目標まで100メートルを切った!

「〝ゾフィエル〟高速飛行形態へ移行!」

神経接続のなされている鎧は、意思ひとつで軽やかに動く。

翼を胴体にやや密着させ、翼の先端が鋭利になる。

一気に加速。このまま体当たりで仕留められる!

が――

「甘い、って」

「!?」

かわされた。いとも容易く、青年は手を使わない側転で、私の頭上を跳躍していた。

その身体能力、その反射速度――!!

(私が鳥人なら、コイツは超人か!!)

コンマ一秒も笑える話ではなかった。