「くそっ!」

胸を突き破られて真っ赤に染まった女に、怨嗟をぶちまける。

自分勝手だとはわかっていた。だけど、またも僕の願いは裏切られた。

コイツも、やっぱり、ダメなのか。

やっぱり妹は……妹はもう二度と僕に関わることはできないのか。

むなしさとやるせなさから、薔薇を強く握り締める――その手に、熱さが、滲んだ。

気がつけば、薔薇の棘が皮膚に食い込んでいる。

……食い込んでいる……?

違う。

薔薇の棘が、僕に絡みついてきている。

刹那、薔薇から火の粉のように散っていた花びらが、パッ、と爆ぜた。

なにが起こったのかと目を見開く合間に、草薙の胸の穴から、無数の茨が伸びてくる。

それは、僕の手を包み込み、

「! ぐぁっ!?」

僕の手首から丸ごと、薔薇を奪い去った。

驚き、草薙を放置して跳びすさる。

「な、なにが……どう……!」

死んだ人間に花をどうすることもできない。

人間が死んだからこそ、花が顕現するというのに。

「なんで、お前は動けるんだ……! なんで、僕のっ、妹はっ、は死んだのにっ! なんでお前は……っ!!」