ひとつは枝に無数開いた、線香花火のような花――まんさく。

花言葉は『ひらめき』。

ひとつは三角錘状に密集した花びらをまとう、血染め色の花――サルビア。

花言葉は『燃える思い』。

この二つを組み合わせれば――爆発、する。

「ぉっ!?」

ドゥッ、と巻き起こった閃光と暴風に、草薙が身を屈めた。

その隙に、爆風の勢いに背中を任せ、一気に詰め寄る。

目的は草薙仁の花――心臓を抉り出すこと。

僕なら、三秒あればできる。

その胸へただ手を突っ込み、あばらを抜けて、脈動する果実を引きずり出すのみ。

逃がさない。

目的のためなら、人を殺すことに躊躇などしない。

そう、だって、この草薙と対峙するために用意した花も、そうして手に入れたのだから。

だから、

「花を!!」

僕は欲望のままに、右手を前へ突き出した。

気がついた草薙が、僕を睨む。

一瞬の交錯。

草薙の腕が、また紅蓮をまとい始める。

  ウリエ
「 ほの……!!」

「もらった!」

「っ!?」

しかし、僕の手が彼女の胸に触れ、内へ潜り、あばらを抜け、どくりと跳ねる禁断を掴むほうが、速かった。

一気に、引き抜く。