『キーンコーンカーンコーン』

やっと放課後か。
数学は死ぬかと思ったぜ…。
あ、宿題はちゃんと終わらせて提出したから平常点はちゃんと貰えてるハズだ。
ほぼ大の写しただけだ。
文句あっか!!

「信也~、帰るぞ~」
「あれ?大さんや、部活はどうした?」
「今日は休みだ。せっかくだから真希菜さんと俺の彼女も誘ってな。」
「何のこっちゃ」
「放課後なんか奢ってくれると言ったのは誰かな~?それに俺が数学見せなかったら多分お前再試受ける事になるぞ?」
「いきやしょうか、旦那」
「分かれば良いんだ分かれば。じゃあ俺は彼女を迎えに行ってくる。お前は真希菜さんをよろしくな」
「りょーかい。日直の仕事終えたらな。後は昇降口で待っててくれ」

真希菜は女子グループと話してたようなので、ちょっと気まずいがそのグループに近付き真希菜に用件を伝える。

日直の仕事を終えた俺は一度教室に戻る。真希菜には教室か昇降口で待っていてくれと言っておいた。
大達には日直で少し遅れるという内容のメールを送ったので抜かりはない。

教室に入ると窓際で外を見ている真希菜の姿があった。
見てくれも良いので様になっている。
女子グループも帰ったみたいなので気さくに駆け寄り話しかける。

「真希菜!!すまん、待たせた」
「うん、待ってたよ」
彼女は笑ってそう言った。
だが彼女の表情には鬱としたものが見られた。
待たせ過ぎただろうか。

「ねぇ、信也…」
真希菜は何か言おうとする。
「やっぱ何でもない!!待たせてるから行こう!!」
「あ、あぁ」
結局、真希菜が何を言おうとしたのかは分からない。

2人で大達の所に行く最中、真希菜はふと昔の事を思い出した様子で言う。
「神崎真由香って覚えてる?」
俺にはそんな名前の人物と会った覚えがない。

「誰だそれは。俺は会った事あるのか?」
「そっか…、うん、そうだよね。今のは忘れて!!何か私自身知らない人の名前を言ってたみたい」

何とも釈然としない感じではあるが、大達を待たせたままなので先を急ぐ。