「いーから!!瑞原が大変な事になるぞ。…お前は知らないだろうが、女の世界はな、怖いらしいんだよ。」


女の世界?


なんで玲音がそんなの知ってんだ?


…あーでもそういえば、前に姉ちゃんが2人いるって言ってた気がする。


…玲音の姉ちゃん達、絶対なんかあったな。


そんな事をのんびりと考えていたら、いつもよりは真面目顔の玲音に早く言えとせかされた。


まあ、ここは言う通りにするか。


「あ、えっと、名字忘れちゃってさ。なんだっけ?」


「み、瑞原です。」


「あ、そっか。ごめんね、忘れてて。」


琴葉の名字なんて、忘れる訳ねぇのに。


「おいおい真人(まさと)、名前覚えてて名字忘れてるとかかわいそすぎだろ!」


玲音が、いつものおちゃらけたような元気な声で言う。