真人side


「じゃあ、またね。」


そう言ってくるりと後ろを向いた琴葉は、どんどん俺から離れていく。


ごめん、ほんとにごめんな。


だんだんと人混みの中へと消えていく後ろ姿に、語りかける。


待ち合わせで“あの人”を思い出してから、


いくら忘れようとしても、頭から離れなかった。


琴葉と一緒にいるのに、ずっと気になってしまっていて。