貴に支えられながら部屋に戻り、ベッドに横になる。

「悪りぃな。お前まで巻き込んで」

椅子に腰掛けた貴は明らかに元気がない。

「悠耶から聞いたんだってな、あいつのこと…」

「うん… ごめんね」

「いや、同じ家にいる以上お前にも知る権利あるし」

不謹慎だけど、初めて貴が“家族の一員”として認めてくれたみたいで嬉しかった。

「俺さ、生まれたのはアメリカらしいけど物心つく頃には悠耶と日本で二人暮らしだったから

実はあの人のことよく知らないんだ… もっと言うと、兄貴と住むのも初めてだし」

「え!?」

一緒に住むようになって貴から自分の話を聞くのは初めてだった。

まぢでありえねーよなと貴は笑ってみせたけれど、その顔はどこか寂しそうにも見えた。

「あの人の浮気で家族が離散したことや悠耶が傷ついたこと考えるとムカつくんだけど、

でも兄貴と違って俺なんかガキすぎて記憶なかった分、責めることすら違和感が…」

そこまで話すと急に黙ってしまう。

何か辛いこと思い出させちゃったかな…