…どのくらい眠ったんだろう。

目が覚めた時、もう窓の外は暗くなっていた。

体調は、さっきよりは楽になってはいたものの全快ではなかった。

トントン

扉がノックされる。

「絹、入るよー」

甲ちゃん、帰ってたんだ。

「体調はどう?」

「さっきよりは、だいじょぶ…」

万全じゃないことは言わなかった、大事にされたくなかったから。

「そう…。夕飯置いておくから、おなか空いたらおいで」

甲ちゃんはそれだけ言うと、部屋に戻っていった。

きっと気がついてるよね、お医者さんだから。

だけど何も聞かないでくれる、優しいから…

これ以上ひどくなったその時は、さすがに甲ちゃんも手術受けろて言うよね。

…何であたしだけ こんな目に

何で…!!

名前の分からない、ただとてつもなく暗い感情に襲われ涙が止まらなかった。

声が漏れないようにタオルを口に当ててその夜はずっと泣いていた。