「貴ぁ、今日の帰りに成田まで行ってきてくれる?」

「は?成田て… 兄貴?」

…アニキ? 一瞬耳を疑った。

「当たり!新しい家だから迎えに行ってやって」

「断る!第一、こいつの面倒も」

好きで面倒を見てもらっているわけじゃないんですけど。

「絹ちゃんも一緒でいいじゃない。それで高カロリー、高タンパク質な高級料理奢ってもらえば」

悠耶さん、あたしは食事制限のある病人です…

「悠耶、私たちも久しぶりに外で食べない?ほら、前話してたイタメシとか」

「いいわねぇ!今夜は夕飯作り浮く~♪」

…全く呑気なもんだ

「それで その“お兄さん”てどんな…?」

恐る恐る悠耶さんに尋ねる。

ヤツですらまだ慣れてないのに、更に増員だなんて。

物心ついた頃からママと二人暮らしのあたしには女子校がいきなり共学になっちゃったくらいの衝撃だ。

「心配しないで。貴とは正反対で優しいから」

…ものすごく心配。